私は、店舗のサービスマニュアルを基本つくりません。

もちろん、
料理のレシピは別です。
それはトレーニングに必要ですし、
シェフを通じて、確実に教えます。

味は、再現できなければ意味がありません。
ここは、曖昧にしない。

一方で、
サービスを細かくマニュアル化することは、ほとんどしていません。


理由は、とてもシンプルです。

サービスは、
人と人の間に生まれるもので、
その時々の状況によって、常に変わるからです。

・その日の空気
・お客様のペース
・こちら側の集中力

それらを無視して
「こうするべき」と決めた瞬間、
サービスは作業に変わってしまいます。


もちろん、
何でも自由にしていい、という意味ではありません。

私が大切にしているのは、

・何を優先するのか
・どこを見て判断するのか
・どんな時間を提供したいのか

判断の軸だけを共有することです。

細かいやり方ではなく、
考え方の方向を揃える。


マニュアルが増えるほど、
現場は安心するようで、
実は考えなくなっていきます。

考えなくなると、
小さな違和感に気づけなくなる。

その違和感の積み重ねが、
店の空気を少しずつ濁らせていきます。


私は、
「間違えないこと」よりも、
「気づけること」の方が大切だと思っています。

だから、
あえてサービスを固定しません。

判断する余白を残します。


この考え方は、
飲食店に限った話ではありません。

現場を持つ仕事であれば、
マニュアルを増やすことで
かえってうまくいかなくなる場面は、意外と多い。

「やり方」を整える前に、
「判断」を整える。

今は、その順番が
とても大切な時代だと感じています。


派手な方法ではありません。
効率も、良いとは言えないかもしれません。

それでも、
長く続けるためには、
現場で考え続けられる状態を保つことが、
何よりの近道だと思っています。


※最近は、
「マニュアルを増やしているのに、現場が疲れている」
そんな相談を受ける機会が増えています。
正解を決めるというより、
判断の整理を一緒に行う形でお話ししています。


Turu no Omotenashi
オーナー 今鶴 博